イラスト:太田裕子

体を動かすとやる気が湧いてくる

心配ごとを抱えると人はうつむき加減になり、視線も下を向きがちです。心がうつうつとしたときは、両腕を上げて胸を大きく開く「バンザイ・ストレッチ」をしてみましょう。

(1) 足を肩幅に開いて立ち、息を吸いながら前へならえ。

(2) そのまま息を吸いながら片足を前に踏み出し、胸を大きく広げて「バンザイ」をします。

(3) 息を吐きながら、姿勢を(1)に戻しましょう。踏み出す足を替えて、左右5回ずつ行ってください。

腕を上げるとき、吸い込んだ息で胸を膨らませる胸式呼吸をすると効果的です。腹式呼吸が副交感神経を刺激してリラックス効果をもたらすのに対し、胸式呼吸は交感神経を刺激するので、気分がリフレッシュします。気持ちも明るく前向きになり、やる気が湧いてくるはずです。

さらにおすすめなのが、朝日を浴びながらこのストレッチを行うこと。太陽の下でリズミカルな運動をすると、「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質・セロトニンが分泌され、心が安定し、幸福感を得やすくなります。

心のモヤモヤを頭の中で整理しようとしても、深みにはまってうまくいかないもの。内科医の私としては、体を動かして心へアプローチしたほうが、前を向くための近道になるのではないかと思うのです。

ほかにも、私が年齢を問わず始めやすい筋トレとしてすすめている「スクワット」や「かかと落とし」。これらを毎日少しずつでも続けると、テストステロンという男性ホルモンが分泌されます。

男性だけでなく女性もつねに少量は出ていて、筋トレによって分泌量が増えるとチャレンジ精神が旺盛になり、気持ちが積極的に。集中力も高まるため、私は「なにくそホルモン」とも呼んでいます。人生後半をポジティブに過ごすためには、筋肉が何より大切なのです。