【藤原】十分な見学が大切
私の知っているケースでは、「車でお迎えに来てくれるのよ」という言葉で、いやがっていたデイサービスに通う気になった方がいました。VIP待遇と感じるのでしょう。
デイサービスは、本人に合うところでないと、通い続けるのは難しいです。どのデイに通うか、ご家族だけで決められることが多いですが、必ずご本人に見学に行っていただくことです。
そこにご近所さんなど知り合いがいれば、心強く、「通ってみよう」という気持ちにもなるでしょう。知り合いがいなくても、気の合いそうな人を見つけられるかどうかです。
曜日が違うとメンバーも違うものです。できれば、違う曜日で複数回、見学に行ってみると、「この感じならいい」となることも。
デイサービスに無事通うようになっても、「もう行きたくない」と言い出す方は多いです。十分に見学して、気の合いそうな人を見つけても、座るテーブルでメンバーが変わってしまったりします。デイを続けられるかは、他の利用者さんとの関係性がとても大きいと思います。
とはいえ、「そんなにいやなら、やめてしまいましょうか」と、すぐにあきらめる必要はありません。
まずは施設の方に、「同じテーブルのこの人が苦手(で行きたくない)と言っている」と相談しましょう。家族が出ていって、代わりに言うことが大切です。本人からはなかなか言えないことです。
デイという場所自体がいやにならないよう、長引かせず早めの対処を。
※本稿は、『認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方』(著:藤原るか・坂本孝輔/すばる舎)の一部を再編集したものです。
『認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方』(著:藤原るか・坂本孝輔/すばる舎)
家族が認知症だとわかり、いざ介護が始まったとき。悩まされるのが、認知症の人の「かたくなさ」。「もっと素直になってくれたら、ずっと介護がラクになるのに」
──けれども、当人には当人なりの理由や道理がある。それを理解し受けとめると、驚くほどすーっと穏やかになってくれる。
訪問介護ヘルパー、デイサービスの経営者、「認知症対応の手練れ」である2人がタッグを組む本書。どう接すれば、認知症の人の気持ちを逆なでせず、日々穏やかに過ごしてもらえるか。現場に根ざしたノウハウを提供する。すぐに使えて、介護がラクになる!現役のデイサービス介護士による「認知症介護あるある」マンガも掲載。