自分の寿命もまったく気にならない

短かろうと長かろうと、それは、脳が選んだこと。脳は、決めた年数を楽しんで、向こうに戻るのみである。だから、私は自分の寿命もまったく気にならない。

そのとき角田先生に「私の寿命に関わる固有振動はいくつですか?」と聞いてもよかったのだろうけど、まったく思いつきもしなかった。だって、脳が知っているのだから、脳の導きに従えばいい。老いに逆らわず、その最後の瞬間まで、ただただ「地球」を味わうのみだ。

『60歳のトリセツ』(著:黒川伊保子/扶桑社)

深くうなずいた私に、角田先生は「あなたは、自分の寿命が何歳か聞かないね」と言った。「はい。興味ないので」と私は答えた。本当にそうだったから。

角田先生は「じゃないかと思った。だからこの話をしたんだよ。聞かれても答えるつもりはないからね。普通の人は、それが気になるみたいだから、誰にでもする話じゃない」と微笑んだ。