ラウンジ前に立っていたいけずな看板

「あそこならなんとかなるでしょ」

「ターミナルの中に2ヵ所トランスファー・ラウンジがあるらしいから、そんなにいっぱいになることもないだろうしね」

と楽観して仁川空港に着いたわれわれであったが、トランスファー・ラウンジの1つに行ってみると、こんな看板が立っていた。

「午後10時から午前5時までこのラウンジは閉鎖します。ターミナル内に同様の施設がもう1ヵ所ありますので、そちらに行ってください」

午後10時から午前5時なんて、空港で1泊を狙う人々にとってもっとも必要な時間帯ではないか。なのに、こんな時間に閉鎖するなんて、いけずもいいところである。

しかたがないのでターミナルの反対側にあるトランスファー・ラウンジまで長い通路をひたすら歩き、ようやく到着してみれば、「ナップ・ゾーン」の仮眠用ソファはすべて埋まっている。あぶれた人々は、閉店したカフェのエリアや、コンピュータが置かれているエリアにふきだまり、そこにある椅子を並べたりして、なんとか睡眠をとろうと各自で工夫していた。

われわれもそれに倣うことにして、空いていた椅子を3つ見つけ、コンピュータ・エリアの一角に陣取った。息子がカフェのエリアに歩いて行って、もう1つ椅子を探しているときだった。