1990年4月にソニー・アメリカの会長として出席したテキサス州の工場のオープニングセレモニー。写真の真ん中に立つのが正明さん。(写真:『人の力を活かすリーダーシップ: ソニー躍進を支えた激動の47年間 錦織圭を育てた充実のリタイア後』より)
全米オープン準優勝、日本人男子の最高ランキング更新などの実績を誇るプロテニス・錦織圭選手。先日開催された「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」は、残念ながら欠場を発表しましたが、その錦織選手はソニー・アメリカ会長も務めた盛田正明さんが設立した『盛田正明テニス・ファンド』でジュニア時代を過ごしています。その盛田さん、「技術だけで一生懸命やった会社もいっぱいあったが、だいたいダメになった」と言っていて――。

ソニースピリットを持って、ソニー生命へ

ソニースピリットの中で一番大事にしていることは、やはり井深大さん(ソニー創業者の一人)から、「人がやらないことをやれ」と言われたことで、いつも私の頭の中にあります。

私のスピリットの根幹です。それは、さまざまな場面で活かされ、ソニーグループでの私の最後の職場でも非常に重要なものになりました。

ソニーの本社では、65歳で本当は役員は定年なのです。私は、このままアメリカに残りたいなと思っていたところ、兄の盛田昭夫(ソニー創業者の一人)から電話がかかってきて、「もう一つ新しいことをやってほしい。ソニー生命保険の会長をやらないか」と言ってきました。

生命保険を何も知らないけど、「これもまた新しいチャレンジ。面白い小さい会社だからやりましょう」と、1992年に日本へ帰って来ました。

井深さんの所へ行って、「今度、生命保険をやります」と報告すると、「生命保険は入っているのか」「入っていません」と私が答えたら、井深さんに大笑いされました。