商品を部品と考える
ソニー生命は、日本の生命保険業界でかなり後発でしたが、他社とはやり方がまったく違いました。元はプルデンシャルから承継したものですが、それをソニー流に変えていきました。
お客様の所に行っても、できた商品をポンと売るのではなくて、お客様の生活体系を伺って、将来どうなるかというのを推定して、それでいろいろな保険の商品を合わせて、こういう形にすると一番いいですよと提案しました。
要するに、一つずつが商品ではなくて、部品だと考えたわけです。それで、子どもができたらそれに合うようにする。ライフプランナーが、一生面倒見ますよというわれわれのスピリットを伝えてセールスをしていきました。
1996年に保険業法の改正が行われて、子会社形態での生損保相互乗り入れが認められ、いわゆる保険の自由化が起こりました。
規制緩和によって、新規参入と既存保険会社の再編成が行われ、小さな保険会社は、大手保険会社に統合されていくケースもありました。
そんな中でもソニー生命はどんどん成長して、1999年12月には総資産1兆円を超えるほどになりました。
※本稿は、『人の力を活かすリーダーシップ: ソニー躍進を支えた激動の47年間 錦織圭を育てた充実のリタイア後』(ワン・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『人の力を活かすリーダーシップ: ソニー躍進を支えた激動の47年間 錦織圭を育てた充実のリタイア後』(著:盛田正明/ワン・パブリッシング)
井深大、兄盛田昭夫らと黎明期からソニーの成長を牽引した盛田正明氏初の著書。アメリカでのグローバル市場の開拓、ソニー生命保険での金融業界参入、そしてソニーのリタイア後に設立し錦織圭を輩出した盛田正明テニス・ファンドの独自の運営など、人の力を巧みにいかすマネジメントスタイルで数々の実績を残してきた半生を、知られざるエピソードを交えながらたどる。