錦織圭選手が、2006年全仏オープン男子ジュニアダブルスで優勝した時のもの(写真:『人の力を活かすリーダーシップ: ソニー躍進を支えた激動の47年間 錦織圭を育てた充実のリタイア後』より)
全米オープン準優勝、日本人男子の最高ランキング更新などの実績を誇るプロテニス・錦織圭選手。先日開催された「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」は、残念ながら欠場を発表しましたが、その錦織選手はソニー・アメリカ会長も務めた盛田正明さんが設立した『盛田正明テニス・ファンド』でジュニア時代を過ごしています。盛田さんいわく「何も世界のトップ選手になることだけが、人生ではない」だそうで――。

「盛田正明テニス・ファンド」のシステム

「盛田正明テニス・ファンド」が、ジュニアに金銭的なサポートをする内容を記しておきます。

・日本とアメリカの往復飛行機運賃。9月のアメリカ行き、12月日本行き(正月の一時帰国)、1月のアメリカ行き、6月の日本行き
・フロリダ滞在中の寮費
・IMGアカデミーでのトレーニング費用
・教育費
・アカデミー在学中における、試合の遠征費
※金銭的なサポートは最長で5年間

少ない時で多少金額が異なる場合があるが、1年間一人のサポートにかかる費用は、数百万円で1千万円はいかない。ただし、錦織のように3年目から専任コーチをつけた場合は、1千万円を超える。

コーチ代は、テニス・ファンドとアカデミーがそれぞれ出す費用を相談して決める。奨学金の返済義務はない。

ラケットやシューズ、ストリングスの張り替え、お小遣いなどは自己負担。

錦織圭がプロになって初めて世界のトップ100に入った時、最初に作ったファンドのルールなのですが、年間獲得賞金の10パーセントを、5年間盛田ファンドに還元してもらいました。

返してもらった分は、次の子どもたちのために使うのです。