テニスだけではなくちゃんとした人物に

盛田ファンドでは、海外テニス留学費用だけでなく、教育費もサポートしていて、中学生は進研ゼミを、高校生は青森山田高校の通信課程を履修させています。

テニス選手は、いつまでもテニスをやっていけるわけではありません。一番の成長期に子どもたちをお預かりするわけですから、テニスをうまくするだけではダメで、一人の人間として、ちゃんとした人物に育てないといけない。

2007年、錦織選手はプロへの転向を発表した(写真:『人の力を活かすリーダーシップ: ソニー躍進を支えた激動の47年間 錦織圭を育てた充実のリタイア後』より)

そうでないと、結局本人が、ハッピーじゃありません。ですから、少なくとも盛田ファンドでテニスをするなら、高校を卒業させたいと考えています。大学へ行くかどうかは、子どもたちが決めればいいのです。

全員トッププロになれるわけではないですが、たとえ途中でダメになっても、われわれが行ったことがないような世界を遠征して、いろんな経験をしてくるのです。

普通の子どもが経験できないことをしているのだから、やはりそれを活かした人生を送ってくれれば、それで十分です。何も世界のトップ選手になることだけが、人生ではないですから。