三四郎、この塚原先生と親しいんだよな。
 何かいろいろあって、三四郎がバイトしていることを見逃してくれているんだよな。話がわかる先生ってことだ。
「三四郎、今、来てますよ。俺もこれから〈バイト・クラブ〉に行くけど、一緒に行きます?」
 尾道さんもときどき来てるんだから、元彼女の塚原先生が顔を出したっていいし、三四郎のこともよく知ってるなら他の皆も別に文句も言わないだろうし。
「ううん、遠慮しておく。今日はたまたま尾道くんとばったり会って、ここを見て行こうかって思っただけだから」
 そうか。
「菅田(すがた)くんによろしく言っておいて」
「了解っス」
 塚原先生か。
 ちょっと目尻が吊り上がってきつそうな感じだけど、猫みたいで可愛らしい雰囲気を持ってる先生。
 三四郎の担任の先生は、こんな感じなのか。
 そして、母さんと、親父も知っているわけだ。
 尾道さんともけっこう似合っている感じだけど、なんで別れたのかね。

       *
 
「え、塚原先生が?」
 三四郎に言ったら、ちょっと驚いてた。
「そう、来てた。もう帰ったけど。尾道さんと一緒に」
「尾道さんと?」
 みちかだ。
「なんで三四郎の先生と、尾道さんが一緒に来るのよ」
「なんか高校の同級生で、その頃に付き合っていたらしいよ」