「ザルツブルグの郊外にあるモンド湖では、湖水浴も可能です。こうした美しい自然が身近にあるからこそ、QOLが高いのだと」(『文はやりたし』(幻冬舎文庫)より)
2018年にドイツ人ヴィオラ奏者のティロ・フェヒナーさんと結婚した女優の中谷美紀さん。現在では一年の半分を日本で、残りをオーストリアで過ごすという二拠点生活を送っています。オーストリアでは庭造りにご近所付き合いなど、ちょっと不便だけれど自由な日々を楽しんでいるという中谷さん、特に“ごみ出し”では東京のマンションの便利さを改めて思い知らされたそうで――。

憧れの田舎暮らし

夏の約2ヶ月を自然豊かなザルツブルクにて過ごしたのだけれど、憧れの田舎暮らしでは、東京では当たり前に手に入ったものが、そう簡単には手に入らず、自ら身体を動かし、労働をしなければ手に入らないことも多かった。

まずはごみ出しであるが、有料の上、二週間に一回だけの回収のため、日頃からごみを最小限にするよう努める。

生ごみはコンポストに投入し、食事は残さぬように少なめに盛り付け、お鍋の中の残り物も極力食べきるようにした。リサイクルごみは、自治体が設ける簡易集積所に自ら持ち込むことが必須となる。それも週に2回だけ訪れる簡易集積所の開放日に、段ボールやポリプロピレンの容器などを車に載せ、雨であろうが炎天下であろうが、それらを移動させるのである。

東京のマンションにて24時間、年中無休でごみ出しを許されていることが、どれほどありがたいことだったのか、改めて思い知らされた。