101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

<100歳の100の知恵 86

『おもしろがる精神で〈老い〉をとらえてみる』

夫は晩年、「自分が老人になるなんてまったく考えていなかったから、歳をとって初めて出会う自分がおもしろくてたまらない」と言っていました。老いの受け止め方はそれぞれです。

性格も人によって違うでしょうから、衰えていくことを悲しみ、なんのために生きているのかと、鬱々とする方もいるかもしれません。

しかし、どうせなら、最後のときまで幸せに生きたいもの。そのためには「老い」という未知な領域への好奇心を働かせ、自分の老いさえもおもしろがる気持ちでいたほうが、日々楽しいと思うのです。

 

自分の老いさえもおもしろがる気持ちでいたほうが、日々楽しいと思うのです(写真提供:photo AC)

 

この歳になっても、まだ初めての経験ができる。そう思うと、私は先が楽しみでなりません。

これからも自分の老いを観察し、「へぇ、人間ってこんなふうになるのね」と変化をおもしろがり、ゆくゆくは、「ほぉ、死とはこういうものなのか」と未知の世界を楽しみ、日々自分らしく生きていきたいと思います。

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