(撮影◎本社 奥西義和)
2023年にデビュー20周年を迎えた作家・森見登美彦さんが、書き下ろしの新著『シャーロック・ホームズの凱旋』を上梓した。実に3年半ぶりの刊行となる。世界的な人気キャラクター「シャーロック・ホームズ」をモチーフとした小説を執筆した理由、本書に反映された自身の想いについてうかがった。(構成◎碧月はる 撮影◎本社 奥西義和)

「シャーロック・ホームズ」との出会い

準公式認定されているシャーロック・ホームズの誕生日は、1月6日。奇しくも、森見さんと同じ誕生日である。ホームズを主人公とした小説を上梓するにあたり、今年はどのような誕生日を過ごされたのか。『シャーロック・ホームズ』シリーズとの出会いもあわせて振り返る。

今年の誕生日は、奈良の若草山中腹にあるホテルで食事をしながらお祝いしました。僕の誕生日が結婚記念日でもあるので、妻がランチを予約してくれたんです。

今回、『シャーロック・ホームズの凱旋』という作品を刊行することになったのですが、僕自身が『シャーロック・ホームズ』シリーズと出会ったのは子どもの頃でした。

親戚から、『ズッコケ三人組』などを含むいろんなジャンルの本が入った箱をもらったんです。その中にホームズ・シリーズも入っていて、それが生まれてはじめて読んだミステリー作品でした。