バスの運転士不足が叫ばれる中、路線バスを減便する動きが全国各地でみられています。日本バス協会によれば、12万1000人の運転手が必要なのに対し、現状11万1000人とすでに1万人不足しており、その不足は今後さらに拡大していくそうです。一方、バスの運行管理者の経験を活かし、交通系YouTuberとして活動しているのが綿貫渉さんです。その綿貫さん、「2024年問題は、バス運転士にも影響がある」と言っていて――。
2024年問題、バスはどうなる?
この記事ではバスをはじめとした公共交通機関について研究している駒澤大学文学部地理学科の土谷敏治(土は正しくは「土に`」の異体字)(つちたにとしはる)教授に取材のうえ、私の見解と研究者である教授の視点を交えてバスの未来を探る。
近年、「2024年問題」というフレーズをよく聞く。これはトラックドライバーに関して影響があるものとしている報道が多く、それも事実であるが、実はバス運転士にも影響がある問題である。
そもそも2024年問題とは何だろうか。従来、労働者の時間外労働は厚生労働大臣の告示によって上限の基準は定められていたものの、特別な事情があれば上限なく時間外労働を行うことが可能だった。それが、2019年に施行された働き方改革関連法によって、特別な事情があったとしても超えてはならない上限が定められた。
この法律は2019年から施行されているものの、自動車運転の業務に関しては経過措置が設けられ、適用は2024年4月1日からとなる。ここでいう「自動車運転の業務」はトラック運転者だけでなく、バスやタクシーの運転者*1も含まれている。
これらの業務については、1989年制定の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下改善基準)で、労働時間等の上限が定められていた。この改善基準を、今回の働き方改革関連法の適用に対応した形で、より厳しい上限の内容に改めることになる。
【*1】バス「運転者」としているが、これは厚生労働省の改善基準のサイトの記載に合わせている。