今は読む勇気がない父からの手紙。一緒に、翔大が小4の「2分の1成人式」の時に20歳の自分宛に書いた手紙を預かっておいています。手渡すのはあと2年後…。(写真提供◎大神さん 以下すべて)
大神いずみさんは、元読売巨人軍の元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。苦しいダイエットをしている最中に、長男が大阪の高校で野球をやるため受験、送り出すという決断をした。球児の母として伴走する大神さんが日々の思いを綴る。

前回「大神いずみ「長男・翔大が大阪から帰ってきたと思ったら大学の寮へ。寂しそうな次男・瑛介を母は見逃さなかった」」はこちら

旅立ちの春がやってきた

週末の練習グラウンド、夕方の終わり時間。

あたりは真っ暗で、選手たちも脱いだシャツを人のバッグに間違って突っ込んでしまったり、歩いて帰る途中「ん?誰のだこの水筒!?」と気づくのはいつものこと。暗いなか選手たちを父母たちがぐるりと取り囲んで、携帯ライトの灯りで帰り支度していたのは…ついこの前だったのに。

いつのまにか同じ時間でもまだ明るい。

さむ、あつ、さむ、あつの変な天気を繰り返しながら、いつのまにか「さぶいさぶい」真冬を通り越している。

いよいよ、旅立ちの春がやってきた。

野球の世界では中学を卒業して家を出る子は珍しくない。
少し前に長男と同級生の野球母と入寮の話をした。
息子をほんのすこし自宅から遠い高校の寮へと送り出した時のこと。

スーパーで納豆を手に取った時、賞味期限を見て「ああ、この日付の時はもう、あの子は家にいないんだなぁ…」と思うだけで涙が出た、という。
きっと家を離れる日までずっと、そんな思いでいるのかもしれない。

我が家は高校入学で息子が家を発つ日が近づくにつれ、

「なんでこんな服の畳み方しかできない!?」
「色ものと白いものを一緒に洗濯したらダメに決まってるじゃん!?」
「そんな弁当箱の洗い方してたら縁が黒ずんでくるからやり直しっ!!」

最強のお小言ババアと化していた。