ハワイでも「買物ブギー」が流行していて、道ゆく日系人が服部やシヅ子に「おっさん、おっさん」「わて、ホンマによう言わんわ」と声をかけてきたという(写真提供:Photo AC)
NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』。その主人公のモデルである昭和の大スター・笠置シヅ子について、「歌が大好きな風呂屋の少女は、やがて<ブギの女王>として一世を風靡していく」と語るのは、娯楽映画研究家でオトナの歌謡曲プロデューサーの佐藤利明さん。佐藤さんいわく「シヅ子のファンは、戦争で夫を亡くし、恋人を失い、子供を抱えて生きていくために『夜の女』となった女性たちも多かった」そうで――。

「夜の女」となった女性たちに支持される

服部良一と笠置シヅ子は、1950(昭和25)年6月16日から4ヶ月、ハワイ経由で渡米、ハワイ諸島、ロサンゼルス、サンフランシスコ、オークランドでコンサートを開催することになった。

それに先立ち、有楽町・日劇では6月6日初日で「ブギ海を渡る」八景(作・演出・山本紫朗)公演が行われ、シヅ子がステージに立った。

その最終日の12日夜、有楽町・日劇で「服部良一、笠置シヅ子 渡米歓送ショウ」公演が開催された。

新聞によれば三千数百名が駆けつけた。

そのなかには「笠置を姉と慕い美しい友情で結ばれている有楽町はじめ上野、新宿、池袋等のナイト・エンジェル三百名」たちもいた。

シヅ子のファンは、戦争で夫を亡くし、恋人を失い、子供を抱えて生きていくために「夜の女」となった女性たちも多かった。

菊池章子の「星の流れに」の題材となった女性たちである。

「東京ブギウギ」でブレイクした時、シヅ子を支えたのは彼女たちだった。

シヅ子もまた彼女たちの境遇に自身を重ねて、その苦労に共感して、リーダー格である「ラクチョウのお米姐さん」たちとの交流を続けていた。