5月12日、東京・両国国技館で始まった夏場所もいよいよ千秋楽。「荒れる春場所」のあと、今場所はどうなるのか。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「中日を終え1敗は23歳の大の里と37歳の宝富士。三役以上の9人のうち5人が休場の事態でも人気力士が場所を盛り上げる!」はこちら

大混戦の大相撲夏場所

大相撲夏場所は大混乱と大混戦のうちに14日目を終え、3敗で単独トップは、昨年夏場所に幕下10枚目格付出しでデビューし、もう新小結の大の里である。

4敗は大関5場所目の豊昇龍、大関2場所目の琴櫻、関脇・阿炎、前頭筆頭・大栄翔の4人。この4人のうち琴櫻だけが優勝の経験がない。

千秋楽で大の里は阿炎と対戦し、勝てば初優勝となる。

大の里が負ければ、大関同士の対戦で豊昇龍か琴櫻のどちらか勝った方と阿炎との巴戦、または大栄翔が前頭8枚目・琴勝峰に勝てば、大栄翔も優勝争いに加わり、最大4人でのややこしい優勝決定戦となる。

大の里は先場所、ざんばら髪で優勝争いに参加。結果は新入幕の尊富士が優勝し、「110年ぶりの新入幕優勝」、出世が早くて大銀杏が結えず「ちょん髷での優勝」が話題を呼んだ。大の里は今場所ちょん髷が結えたが、優勝となると、2場所続けてのちょん髷の力士の優勝となり、十両以上の力士のシンボルである大銀杏の権威は悲しいものになる。

中日を過ぎて、NHKテレビの正面解説の親方に実況のアナウンサーが優勝のゆくへをたずねたが、強いと思えた力士に安定感がなくて、親方たちも予想ができない。

しかも、1横綱、4大関、2関脇、2小結の9人のうち10日目まで5人が休場。11日目を終えて2敗でトップに立ったのは前頭10枚目・湘南乃海ひとり、3敗が6人。ところが12日目に湘南乃海が阿炎に敗れ、3敗4人に4敗7人となった。