厚生労働省の「令和4年 労働安全衛生調査」によると、仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じると答えた人の割合は82.2%で、前回の調査から約3割も増加したそう。悩める社会人が増えているなか、精神科医の藤野智哉先生は「『がんばらないと』と思う前に、いちばん大切にしなければならないのは自分」と話します。そこで今回は、藤野先生の著書『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』から、心がラクになるメッセージを一部お届けします。
「変わりたいとき」は、つらいときやしんどいとき。まずは自分を癒して、ケアしてあげて。
「変わらなきゃ」「このままじゃダメ」「できるようにならないと」というように、「変わりたい気持ち」を話される人は多いです。
「ちょっとしたことでくよくよ落ち込んじゃう。いいかげん変わらなきゃ」
「なんでもっと上手に言えないんだろう。いい年して、このままじゃダメ……」
「ミスして職場の人に迷惑をかけてしまった。早くきちんと仕事を覚えて、できるようにならないと」
「またイライラして子どもに怒ってしまった。こんなママじゃダメ。子どものためにもしっかりしなきゃ」
「ちゃんと今の職場に慣れないと。もっとがんばろう」
このように話して、「だから変わりたい」と言ったりしがちです。
でもね、「変わりたい」ときって、実は、たいていよくない状況にいて、「つらい」「しんどい」と感じるときだったりします。
たとえば仕事でミスして落ち込んでるときだったり、つい誰かと比べて「自分はできてない……」と凹んでるときだったり、人間関係でうまくいかないことがあって悩んでいるときだったりするのです。
あるいは、友人から「そんなことでいいの?」と批判されたり、まわりの人の行動を見て、「私もちゃんとしないと」なんて思ったりするときだったりします。
新しい環境で生活するようになって、慣れよう、しっかりやろうとあせっているときなどもそうかもしれませんね。
だから、「変わらなきゃ」「このままじゃダメ」となっています。