時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは茨城県の60代の方からのお便り。10代の頃に好きだった漫画家の名前をコミック誌に発見し、久しぶりに読んでみたそうで――。
青春と再会
昨春、私はある女性コミック誌を購入した。表紙に10代の頃好きだった漫画家の名があったからである。じっくり読むと、先生の描く青春群像劇に夢中になったあの頃が一気に蘇った。やはり面白い。
そこで気になったのは、先生の近況である。もうかなりのお歳のはずだが、今もご健在なのだろうか。作品に感動した私は、思いきってその夜、お手紙を書いてみた。出版社に電話をすると、担当の人が手紙を届けてくださるという。
2ヵ月も経った頃、なんと先生からお返事のハガキが届いた。先生はすでに漫画家をリタイアしていて、私が読んだのは昔の作品の再掲載だったようだ。50年も前の作品の感動を手紙に綴ってくれたことに感激した、と書いてあり、直筆のイラストまで添えてくださっていた。
あの頃の先生の作品は、思春期まっただ中の私たち世代の代弁者だった。ハガキは大切に文箱にしまい、時折取り出しては、青春を思い出す日々である。