WHO(世界保健機関)の推定では、うつ病患者は人口の約3%いるとされており、心を病む人の人数は年々増加の一途をたどっています。精神科医・心療内科医の数は増え、メンタルクリニックも増えているのに、メンタルを病む人がなかなか良くならない「本当の理由」とは何なのでしょうか?よりよい医療を受けるためのヒントを、精神科医 和田秀樹氏著書『「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』から一部を抜粋して紹介します。
職場復帰した人の約半数が再休職という、治らない現実
うつ病で休職し、復職できたとしても、およそ半数が5年以内に再びメンタルの不調を訴え、休職に至るといわれています。
しかも、1回目の休職期間にくらべて、2回目の休職期間は1・5倍も長いというデータも出ています。
さらに、うつ病の再発回数が増えるごとに再発率が高まり、パフォーマンスが低下することが、厚労省の調査で報告されています。
これらの数値が示しているのは、日本人のメンタルの弱さではありません。
今の日本の精神医療では、一度発症したメンタルの不調をほとんど治せていないという現実です。
それを私は「精神医療崩壊」と呼んでいるのです。