『婦人公論』9月10日号の表紙に登場している星野源さん(表紙撮影:篠山紀信)
2019年は映画に、大河ドラマ出演にと大活躍だった星野源さん。12月28日、29日には大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の再放送、31日には紅白歌合戦もあります。そこで、星野さんが表紙に登場した『婦人公論』9月10日号からインタビューを掲載します。(構成=丸山あかね)

必死に生きなきゃ意味がない

音楽と演劇を始めたのは中学生の頃。松尾スズキさん演出の舞台に初めて出演したのが2003年、22歳の時でした。

2016年に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で僕を知ってくださった方も多いのではないでしょうか。この時は、作詞・作曲を手がけた主題歌「恋」とともに「恋ダンス」も話題になり……。

社会現象といわれたブームの中心にいるのは不思議な感じでしたが、すごく嬉しかった。達成感は山あり谷ありの日々とセットだったのだと悟り、人生は必死に生きなきゃ意味がないと開眼しました。

8月末公開の映画『引っ越し大名!』でも、全エネルギーを投入して主役に挑んでいます。


心の裡に溜め込んだ煮えたぎるマグマ

僕は、音楽家、俳優、文筆業と三足のわらじを履いています。昔から自分は社会不適合者だという自覚があって、かくなるうえは好きなことにのめり込むしか生きる術がないと考えていたというか、今もそう思ってます。

「中途半端になるから、せめてやることを一つに絞れば?」と忠告してくれる人もいて、確かにそうだなと思うのですが、僕は諦めが悪いのか、しぶといのか。(笑)

音楽や芝居が心から好きで、表現することが面白いから、あの手この手で取り組んできました。好きなことに夢中になっていると、目立ちたい、成功したいというような欲望や、自分を他人と比べて卑下するような気持ちから解放されて楽になる瞬間があります。

コンサートで観客のみなさんと音楽を介してひとつになった時、演じている役と一体になった時──自我が消え、禅でいうところの「無」のような感覚が生まれるんです。

『引っ越し大名!』で共演した松重豊さんにこのことをお話ししたら、「すごくわかる」と共感してくださいました。自分は間違っていなかったんだと思えて嬉しかったです。