あなたは「趣味は何ですか?」と聞かれて、堂々と答えられる趣味がありますか?「今は忙しいけれど、時間ができたらやりたい趣味がある」、という方も多いのではないでしょうか。多数の趣味を持つ作家・国文学者の林望さんは、「趣味は本気で取り組むからこそ楽しくなり、思いがけない自己実現にもつながる」と語ります。そんな林さんの著書『結局、人生最後に残る趣味は何か』より一部を抜粋して紹介します。
「定年後は趣味三昧(ざんまい)」という大きな誤解
今、仕事や育児、介護などに追われている人の多くは、「忙しくて、趣味の時間どころではないよ」「まあ、定年になったら、思う存分趣味に情熱を注ぎたい」などと考えているかもしれません。
しかし、「今より自由な時間が増えたら趣味を楽しもう」という発想は大きな間違いです。
「暇有るを待ちて書を読まば、必ず書を読むの時無けん」という箴言(しんげん)もあります。
いつか暇ができたら……というのは、自分の怠慢に対する言い訳のようなもので、世の中では、忙しい人ほど、案外に豊かな趣味生活の時空を確保していたりもします。
ですから、今日のわずかな時間をも無駄にせず、努力して趣味にあてる、という発想に今すぐ転換する必要があります。もう少し具体的に考えてみましょう。
仮にいま、会社員として仕事をしている人のことを考えてみると、1日少なくとも8時間程度を会社に拘束されていることだろうと想定されます。