1月号の書は「アールデコ」です。
美意識が品性となる
私は自分の音楽会や芝居の美術、衣装に、よくアール・ヌーヴォーやアール・デコ様式を取り入れます。とくに音楽会でシャンソンを歌うときは、アール・デコ風の舞台セットにすることもありました。1910〜30年代に流行ったアール・デコは、フランスの美意識だけでなく、ハリウッドの華やかなイメージも反映しています。ですから、ゴージャスな衣装に身を包む音楽会に向いているのです。
アール・ヌーヴォーは植物などの自然をモチーフにした曲線的なデザインが特徴ですが、その後に続くアール・デコは直線を取り入れた、モダンで幾何学的なデザインが特徴。どちらのスタイルも、建築、絵画、工芸品、宝飾品、家具など、あらゆる分野に影響を与えました。ちなみにココ・シャネルはアール・デコ時代を代表するファッション・デザイナー。アメリカのエンパイアステートビルも、アール・デコ様式です。
ガラス工芸で有名なエミール・ガレはアール・ヌーヴォー、ルネ・ラリックはアール・デコを代表する作家です。私は、ガラスのデザインに関してはこの2人が世界で最高峰だと思っており、ガレのランプは私の宝物でもあります。
日本でアール・デコに浸りたいなら、東京都庭園美術館がおすすめです。33年に皇族の朝香宮家の自邸として建てられた建物で、フランス人芸術家のアンリ・ラパンやルネ・ラリックのデザインが随所に取り入れられています。
本物の美に触れると、美意識が養われ、おのずとそれがその人の品性となります。「魂の美化活動」と思って、美術館やアートギャラリーなどで優雅な時間を過ごしてみてはいかがでしょう。
●今月の書「アールデコ」
「あなたの人生を導く-美輪ことば」(著: 美輪明宏/ 中央公論新社)
「微笑みは開運の鍵」
「ルンルンルン」
「自分にも感謝を与えてください」
「地獄、極楽は胸三寸にあり」
美輪明宏さんが89年の人生をかけて大切にしてきた言葉が満載!
~~~自筆の「書」とともに綴る愛のエッセイ!~~