館林城・土橋門。群馬県館林市(写真:stock.adobe.com)

日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマが展開していく中、江戸時代の暮らしや社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「松平武元」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

ふさふさした眉毛が印象的な松平武元

今日で4回目の放送を迎える『べらぼう』。

ドラマでは吉原を盛り立てようとする蔦重の頑張りと並行して、18世紀後半における江戸幕府の内情が描かれています。

後者では特に、渡辺謙さん演じる田沼意次と、石坂浩二さん演じる保守派の老中・松平武元の対立シーンがたびたび登場し、話題に。

第10代将軍・家治のもとで財政改革を進めようとする意次に対してやたらと怒鳴る武元。まさに保守的な態度とともに、ふさふさした眉毛がとても印象的ですが、ドラマ内では<老中首座>という役職に就いているようです。

今回はその松平武元について解説したいと思います。