好きなことをやって…(写真提供:Photo AC)
「60歳の壁を超えると、女性は元気になり、男性は萎んでいく」。女80歳、もう年だからと自分を抑えるのではなく「あれもしたい、これもしたい」と積極的に生きてみませんか。ベストセラー『80歳の壁』の著者である高齢者専門の精神科医・和田秀樹さんによると、夫や子ども、世間体からやっと自由になれる高齢期こそ、女性の幸せのピーク《幸齢期》だと言います。最新作『女80歳の壁』より、楽しく壁を乗り越える秘訣を紹介します。

人は皆/いつかかならず/死ぬものぞ

後悔せずに生きるために、私がとても大事だと思っていることがあります。それは「どうせいつかは死ぬんだから」と思いながら生きる、ということです。

なんてことを言うんだ!とおしかりが来そうですね(笑)。でも残念ながら、死なない人はいません。

死ぬ確率は100%です。それなのに多くの人は、自分は死なないと思っています。いや「どうせいつかは死ぬ」と頭ではわかっているのに、考えないようにしているのです。

結果、死を恐れ、「**してはいけない」と自分を縛って生きています。それが如実に表れたのが、コロナ禍のときでした。

テレビには専門家が次々と登場し「コロナは怖いですよ。高齢者はとくに注意が必要です」と吹聴したため、元気な幸齢女子たちまでもが、すっかり怖気づいてしまいました。

行きたい旅行や外食、女子会も我慢し、ご近所との井戸端会議も自粛し、子や孫に「会いにこないで」と涙ながらに断る始末です。もはや悲劇です。

その結果、どうなったか?「要介護高齢者」が増えたのです。

足腰が弱って歩けなくなったり、転倒して入院生活を送ったりする人が増加しました。家に閉じこもって会話もせず、不安ばかり募つのらせれば、要介護状態になるのは当然です。

筋肉や脳は、使わないと衰えますからね。「フレイル」と呼ばれる心身の虚弱状態を招いてしまうのです。

フレイルの状態では、心と体の活力が低下し、病気にかかりやすくなります。ストレスにも弱くなる。考え方も消極的になり、心配性にもなります。

もったいないと思いませんか?だからこそ「どうせいつかは死ぬんだから」という発想が大事になると思うのです。

医者の言うことを聞いて、やりたいことを我慢して弱っていくのか?「どうせ死ぬんだから」と、好きなことをやって寿命を使い切るのか?

さて、あなたは、どちらがいいですか?