肩こりや腰痛に悩み、病院に行ってレントゲンを撮っても「原因がわからない」と診断されてしまった……という方もいるのではないでしょうか。オクノクリニック総院長の奥野祐次先生によると、このような<ありふれた痛み>の原因は<血管>にあるとのこと。そこで今回は、東京医科大学准教授・遠藤健司先生との共著『こんなに痛いのにどうして「なんでもない」と医者に言われてしまうのでしょうか』から、奥野先生による解説を一部お届けします。
ありふれた痛みは、治すのが難しい?
「関節が痛くて病院を受診したのに、有効な処置をしてもらえなかった」
そのような経験はありませんか? 特に肩や膝などの関節の痛み、肩こり、腰痛など、多くの皆さんが困っている「ありふれた」痛みや症状は、病院で診てもらっても根本的な解決法が提示されないことが少なくありません。
レントゲンを撮ったり、場合によってはMRIまで撮影したのに、「大きな異常が認められない」とか「手術するような場所はないですね」などと言われ、湿布や痛み止めをもらって帰ったことがある人は多いことと思います。「こんなに痛いのに、なぜ?」と疑問に感じた方もいるかもしれません。
2013年に行なわれたアンケート調査では、成人のうち約22%の人が、腰や膝など体のどこかに3カ月以上の痛みを抱えていると回答しています。さらにその人たちに「病院や医療機関で、あなたの痛みは満足に改善しましたか?」と質問したところ、7割の人が「いいえ」、または「十分ではなかった」と答えています。【文献(1)】
実は、肩こりや腰痛、五十肩や膝の痛みなどの「ありふれた」痛みこそ、治すことが難しいということを、皆さんお気づきでしょうか?
【文献(1)】矢吹省司,牛田享宏,竹下克志・他:日本における慢性疼痛保有者の実態調査―Pain in Japan 2010 より。臨床整形外科 47:127 ~ 134,2012