厚生労働省が公表している「令和5年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2023年に心疾患で亡くなった人は23万1,056人で、1位の悪性新生物(がん)の38万2,492人に次いで多い死因となっています。そんななか、「動脈硬化から引き起こされる心臓疾患は防ごうと思えば防げる病気」と語るのは、心臓血管外科医の渡邊剛さんです。今回は、渡邊さんの著書『世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』から一部を抜粋しお届けします。
「悪玉血液」と「善玉血液」
血管がボロボロになる前に食い止めるには、血管の中を流れるものに目を向けることです。つまり血液です。
心臓から送り出される血液は、1分間で約5リットルといいます。1時間で300リットル、1日に換算すると7200リットルも送り出されていることになります。運動しているときは1分間で20~25リットル送り出されるといわれているので、運動習慣がある人はさらに大量の血液が流れているということになります。
これだけの量の血液が血管の中を流れているのですから、血管に影響を及ぼさないわけがありません。
同じ血管でも、汚い血液が流れれば早くボロボロになるし、きれいな血液が流れれば、血管そのものの加齢による劣化は止められなくても、内側から始まる劣化は食い止めることができます。
きれいな血液なら、少なくとも劣化のスピードを遅らせられるということです。
本記事では、この血管をボロボロにする汚い血液を「悪玉血液」、劣化を遅らせるきれいな血液を「善玉血液」として話を進めていくことにします。