松本利夫さん 舞台『よろしく候~BOTTOM OF HEART~』で主演を務める(撮影:本社 奥西義和)
黒船来航に揺れる幕末、勝海舟の統括のもと、徳川幕府初の海軍養成プロジェクトが始動し、幕府の蒸気船にあらゆる出自の若者たちが集結。この船底で繰り広げられる、船乗りたちと偉人たちの交流によって日本の歴史を変えてゆくさまを描いた舞台『よろしく候~BOTTOM OF HEART~』が、6月26日から幕を開けます。主演として旗本の子息・榎本釜次郎役を演じるのは、EXILEのパフォーマーとしても活躍された松本利夫さん。日の当たらない船底で、船を動かすためにカマに石炭を入れる――そんな釜次郎たちを通して見えてくるものとは。舞台のことや、松本さんの家族との接し方までたっぷりとお話をうかがいました
(構成:かわむらあみり 撮影:本社・奥西義和)

1年に1回は大変なことがしたいと思っている

今回、舞台の主演としてお話をいただいて嬉しかったです。『よろしく候~BOTTOM OF HEART~』のストーリーは、劇団カムカムミニキーナ主宰の松村武さんが2008年に手がけた演目をご自身で完全リメイクしたもので、「演じてみたい」「面白そうだ」と直感して、お受けさせていただきました。

舞台は1年ぶりの出演になります。僕のなかで舞台は、喜怒哀楽を表現して、自分の体からさまざまな感情を全部剥ぎ取っていくような作業をしていくもの。いつも「1年に1回は大変なことがしたい」と思っているので、ここで挑戦をしておきたいという気持ちもありました。

出演が決まってからは、ストーリーや榎本釜次郎(のちの榎本武揚)の役柄について考えていきました。当初、僕はこの人物を知らなかったので少し調べたのですが、史実にあるままを演じるのもどうなのだろうかと。舞台は、共演者の方々と一緒に作っていくエンターテインメントでもあるので、人物像についても、実際に稽古を重ねる中で形作っていくところがあると思っていて。全体のバランスを見ながら、どのように表現していこうか、追及していきたいと思います。

あとは釜次郎の年齢が、僕の実年齢(50歳)より若い設定なんです。そういった部分も含め、まだこれからやりたいこと、やらなきゃいけないことが山積み。大変な作業ではありますが、自分でも楽しみながら、稽古に挑むところです。