(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
身近に生える植物たちには、図鑑には書かれていない多くの秘密があります。そこで今回は、雑草学を専門とする、静岡大学大学院教授・稲垣栄洋さんの著書であるエッセイ風ミステリー『雑草教室-図鑑が教えてくれない植物たちのひみつ』から一部を抜粋し、「植物サークル」の学生たちとともに植物の謎を解明していきます。稲垣教授は、メンバーの出雲さん、岡山さん、瀬戸田くんと「ムラサキエノコログサ」の秘密に迫るそうで――。

エノコログサの変種

「エノコログサの毛といえば……」

稲垣教授が話し始めた。

「じつは、前から気になっている謎があるのだが……」

「私たちが、その謎、解いてあげましょう」

そう言ったのは出雲さんだ。

稲垣教授の話はこうだ。

エノコログサの変種で、ムラサキエノコロと呼ばれる種がある。

ムラサキエノコロは、赤紫色の色素を持っていて、葉っぱや植物全体が紫色をしているのが特徴だ。シソの中に緑色の青じそと、赤紫色の赤じそという種類があるのと、同じようなものだろうか。