
健康的で幸せな老後を送る(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)
最近、姿勢が悪いと言われるようになった、歩くとすぐ疲れる、空を見上げるのがつらい…。そんな「小さな変化」を見過ごしていませんか?見た目も、健康も、命さえも左右するのが、実は加齢による【背中の丸まり】です。そのメカニズムと対策法について、年間3,000人以上の患者と向き合っている《背中のプロフェッショナル》である医師の野尻英俊さんがわかりやすく解説した『人は背中から老いていく』より、一部を抜粋して紹介します。
「背中の老い」を進める見えない敵とは?
ところで、みなさんは「ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)」をご存じでしょうか。
「運動器の障害によって立ち座りや歩行などの移動機能が低下した状態」の総称で、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。超高齢化社会になり、ロコモになる人が爆発的に増えてきています。
ある日突然なるものではなく、加齢にともなってじわりじわりとこの状態になっていくので、病気を発症したり、深刻な症状になったりする前の「未病」といわれる状態から、対策を立てる必要があるとされています。
ロコモは、体を「支える」運動器=骨、「曲げる」運動器=軟骨・椎間板、「動かす」運動器=骨格筋・神経の3種類の障害からなり、具体的にはそれぞれ次のような疾患をもたらします。
1:骨の障害によって起こる代表的な疾患→骨脆弱性骨折、骨粗しょう症
2:軟骨・椎間板の障害によって起こる代表的な疾患→変形性ひざ関節症、変形性腰椎症
3:骨格筋・神経の障害によって起こる代表的な疾患→神経障害、サルコペニア(筋肉量が減少して筋力が低下してしまった状態)