<メニュー>「せいろ」1100円/「穴子の天ぷら」1900円/「鴨とそばがきの治部煮」2200円/「玉子焼き」1500円
手前から、福井県の在来種を打った「せいろ」1100円。裂きたての、ふわっとした食感が魅力の「穴子の天ぷら」1900円。「鴨とそばがきの治部煮」2200円。山形産の鴨とそばがきは別々に調理し、最後に合わせて仕上げた一品。ほのかに甘い「玉子焼き」1500円
デートや家族・友人とのお祝いに、自分へのごほうびに。ちょっと贅沢したいランチにおすすめのお店を、食の専門家たちが紹介する連載『ごほうびランチ』。今回紹介するお店は、東京・浅草にある蕎麦店「浅草 ひら山」です。(撮影:上田佳代子)

鮮度が際立つ自家製粉の十割蕎麦

9月の声を聞くや耳にする新蕎麦便り。北海道から南下してくる新蕎麦前線を心待ちにしている蕎麦好きも多いことだろう。「新蕎麦の持ち味はやはり香り。どこか青々とした独特の爽やかな風味や、綺麗な緑色が魅力です」。そう語るのは、「浅草 ひら山」のご主人・平山周さん。

 

「梅おろしの冷かけ」1500円
「梅おろしの冷かけ」1500円。「飲んだ後にピッタリ」と好評を博し、定番メニューに。昆布と本枯節、干し椎茸でとる出汁はすっきりと上品で、舌に広がる豊かな旨みを梅干しの酸味がさっぱりとまとめている。冷かけの出汁は塩を幾分強めにしているそう。佐賀県の初摘みバラ干し海苔をふんだんに用いた「花巻蕎麦」1600円もぜひ味わってみたい逸品

 

現在、福井県の在来種を主に扱う同店では、10月半ば頃から新蕎麦がお目見えする。その香りをよりダイレクトに伝えたいと、平山さんはあえて玄蕎麦(殻のついた蕎麦の実)で仕入れ、自家製粉。殻剥きから製粉まで自ら行う手間のかけようだ。

この新蕎麦特有の香りをストレートに味わいたいなら、「せいろ」がいい。まずはそのまま、何もつけずに啜(すす)り込めば清新で甘やかな芳香に法悦にひたれる。とはいえ、せいろ一枚で終わらせるのはいかにも惜しい。せっかくなら、銀座の名割烹仕込みの一品料理や修業先の蕎麦店譲りの天ぷらも味わいたいもの。

旬の素材を取り入れつつ、主役の蕎麦を邪魔せぬさりげない仕立ても秀逸。これらを肴に一献傾ける楽しみも、蕎麦店ならではの醍醐味だろう。

 

「浅草 ひら山」店内写真
「浅草 ひら山」店内写真
浅草 ひら山(あさくさ ひらやま)(東京・浅草/そば)
●住所:東京都台東区西浅草1-3-14
●電話:03・5830・6857
●営業時間:昼/12:00~14:00(L.O. 13:30)、夜/18:00~20:30(L.O.20:00) 月・火曜休
●メニュー:昼/せいろ1100円~、天ぷら、一品料理、おまかせ料理 夜/せいろ1210円~、天ぷら、一品料理のほか、1万3600円のコース ※夜はサービス料10%込み。コースは要予約
●アクセス:東京メトロ田原町駅より徒歩2分
●公式Instagram:@asakusahirayama
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