星野真里さん
女優の星野真里さん(撮影:本社・武田裕介)
2024年、長女ふうかさんが難病「先天性ミオパチー」であることを公表した女優の星野真里さん。元TBSアナウンサーで現在は都議会議員の夫、高野貴裕さんとともに、ふうかさんとの日々から気付いたことを発信するインスタグラムも始めた。難病や障害のある人を取り巻く環境の改善のために2024年には社会福祉士の資格も取得し、2025年10月31日には細身の子ども向けの肌着開発を目的としたクラウドファンディングを開始。 もともとは引っ込み思案で読書とテレビが大好きなインドア派という星野さんだが、インスタでは家族と公園でくつろぐ様子や、友人たちとのキャンプなどアウトドアの時間が多くアップされている。来年4月からは声舞劇!『終活を始めた途端、55歳の息子が帰ってきました』への出演が決まっている星野さんに、現在の心境を聴いた。
(構成:吉田明美 撮影:本社・武田裕介)

彼女がきてくれたから気づけたこと

娘は10歳になりました。わが娘ながらポテンシャルが高く、いろいろなことを彼女なりに考えていて、最近はいろんなことを自分の言葉で伝えるようになってきました。私よりずっと冷静で「ママのこういうところは少しおかしくないですか?」なんて言われちゃう。「そうですね。申し訳ありません」というしかないこともしばしばです(笑)。頼もしいです! 障害があるため、電動車いすで移動しているので周囲の視線を浴びることも多いのですが、彼女は常に堂々としているし、楽しそうなんです。

もちろん、彼女には障害はないほうがいいに決まっている。でも、私にとっては彼女が来てくれたからこそ、昔の私からは考えられないようなことができるようになったのだと思います。生まれてきたのが彼女でなかったら、子育てをなめてしまっていたかもしれません。

「あたりまえなんてない」ことに気付いたことで、私は逆に彼女に育ててもらっています。本当に感謝しかない。だからこそ、生きているうちにこの気持ちを形にして残したい。SNSでの発信やクラウドファンディングもそのひとつ。いろいろなことに挑戦する、働きかけていく、だめでもあきらめずに動いていけば道が切り拓かれるんだということを見せていきたい。私たちの背中を見せることで娘に何かを残せていけたらいいなあと思います。

娘のためになることならなんでもやりたいというのが、主人と私の一致した考えです。社会福祉士を取得したのも、発信するからには福祉の世界のことを少しでも知りたいと思ったからなんです。クラウドも、娘は体がとても細いので、娘にあう洋服がなかなかなくて。そう思っている同じ病気の方々のスペシャルニーズを形にできたらなと思っています。

夫は今年、都議選に挑戦して初当選しました。やはり娘と一緒に生活していく中で、ぶつかる壁、超えなければいけない壁が多すぎるというのを実感したのがきっかけです。娘にそれをどうにか超えさせたいと思っても、現場レベルではどうしようもないことばかり。学校の先生方も精一杯頑張ってくださっているのはとてもよくわかるので、その先は、制度、システムに踏み込む必要があったんです。夫は夫で、私は私で、できることを精一杯やり続けるつもりです。

星野真里さんご家族
星野さんご家族(写真提供:星野さん)