タイタン社長 太田光代さん
タイタン社長 太田光代さん
爆笑問題など人気芸人が所属する芸能事務所「タイタン」の社長、太田光代さん。夫で爆笑問題の太田光さんとは独特の信頼関係を築く。所属芸人が問題を起こすたびに絶妙にフォローし、浮き沈みの激しい芸能界で新しい道を切り開いてきた。新刊『社長問題! 私のお笑い繁盛記』(文藝春秋刊)は、波乱万丈な半生を語った一冊。宗教2世であったことの葛藤や実の母との関係を明かした光代さんは「母親だからといって無理に好きになろうとしなくていい」と語る。(取材・文:婦人公論.jp編集部・油原聡子 撮影:本社・奥西義和)

宗教2世に生まれて

母は38歳の時に、未婚で私を出産しました。私は先天性股関節脱臼だったんです。小学校を卒業するころにはほぼ完治しましたが、1歳半に手術をして入院生活でした。3歳半で退院するまで病院にいましたが、ちょうど愛着が形成される大事な時期。母としても愛着がちょっとゆがんでしまったのかもしれません。私は私で幼い頃を病院で過ごしたから、病院での暮らしのなかで出来上がった性格があるのかもしれませんしね。 

ずっと病院にいたから、病院が自分の家だと思っていました。母親が迎えに来て病院を出てみたら、今度は本来いるはずの「父親」という存在がいない。幼くて理解力がまだあまりない中で自分の暮らしの変化を理解しなきゃいけないところから始まったんです。いろんなことが積み重なってやけに考えることが多かった子ども時代でした。

母は私が生まれる前から新興宗教を信仰していたんです。私は自分で望まないまま「宗教2世」として生まれてきました。信仰の場によく連れて行かれました。宗教や何か信じるものに対しては、納得した形の信仰じゃないといけないと思うんですが、母はあんまりそこは分かってなかった。

大人になった私は海外に行くこともありますから、生きていくうえで何かしらの信仰はあったほうがいいとは思っています。信仰があることが心の豊かさにつながることもある。宗教自体が悪いと言っているわけではありません。私も、母の信仰について最初は何も思っていなかったのですが、6歳の時に、母が結婚したんです。