(写真提供:Photo AC)
『リング』『呪怨』に代表されるように、日本ではこれまで数多くのホラー映画が製作されてきました。こうした「Jホラー」について、開志専門職大学助教・鈴木潤先生は、「ビデオ、映画、テレビ、動画共有サイトなど、いくつものメディアを渡り歩き、重層的に歴史を紡ぎ続けている」と語ります。今回は、鈴木先生の著書『Jホラーの核心: 女性、フェイク、呪いのビデオ』から一部を抜粋し、お届けします。

美しさへの執念──映画『おろち』(2008)

楳図かずおによる同名マンガを原作とする映画『おろち』は、鶴田法男が監督を、高橋洋が脚本を務め、2008年に公開された。

とある嵐の夜、老いることを知らない謎の美少女・おろち〔演:谷村美月〕は、スター女優・門前葵〔演:木村佳乃〕が二人の娘たちと暮らす大豪邸にたどり着く。

葵は娘たちに自らの後継者となるべく教育を施すが、妹の理沙〔演:中越典子〕に比べて歌の才能で劣る姉・一草〔演:木村佳乃、二役〕は、ステージに立つことが許されなかった。「悔しくなかったらお前はわたくしの子ではありませんよ」とたきつけられた一草は、葵の出演作品のフィルムのある箇所を繰り返し見続けているうちに、母親の美貌に翳りが生じつつあることに気づく。

その後、引退してしまった葵に代わり、彼女と瓜二つに育った一草も銀幕のスターとして活躍するが、理沙が実の妹でなく、自分だけが母親と同じように醜く変わり果てる運命にあると知らされると、理沙に厳しい折檻を加えるようになる。