海外での日本食ブームやインバウンド需要を背景に、日本酒の輸出が好調です。日本酒造組合中央会によると、2024年の日本酒輸出総額が434.7億円(昨対比:105.8%)となりました。近年海外市場での日本酒の躍進のきっかけのひとつとなったのが、「獺祭」です。データを重視した酒造りなどで、日本国内の価値観を大きく変え、西日本大水害での被災やコロナ禍などトラブルに見舞われながらも海外進出を果たしました。桜井博志会長が「獺祭」の成長の軌跡を振り返り、経営哲学を綴った著書『獺祭 経営は八転び八起き』(西日本出版社)から、一部を抜粋して紹介します。

獺祭の酒造り 

心配するな。絶対うまくいかんから。

「心配するな。絶対うまくいかんから」というのは、1年間密着取材を受けたNHKBSの「ザ・ヒューマン」のタイトルです。「酒造会社会長 桜井博志 〜心配するな 絶対うまくいかんから」…。たしかに、社内で私がよく使う言葉です。フルバージョン版で言うと「心配するな。『最初は』絶対うまくいかんから」なんですが……。

失敗を恐れて小さくまとめるだけになることを心配して、同時にうまくいかなくて落ち込んでいるスタッフに対して、よく言っている言葉です。最初はうまくいかなくてもいい。修正しながら第二・第三の矢を放てばいい。ということです。その方が、最終的には大きな成果につながる、という個人的経験から話していることです。

PDCAという言葉が有ります。プラン・ドゥ・チェック・アクションの略で、ビジネス上やいろんな業務遂行の上で金科玉条の如く言われています。

この言葉に代わって中国ではTECAという言葉が使われるそうです。トライ・エラー・チェック・アクションです。

ともすれば精緻な計画ができるまで動かない、動き出してもその計画に縛られて現実の状況との間に矛盾があっても変更できない。そして、失敗すればものすごい非難を浴びる。われわれ日本人の弱いところだと思います。ところが中国はTECAでぐんぐんいくわけです。近年、日本経済が中国経済に追い越され、背中も見えない状態になっているのも仕方のないことかもしれません。

有名なコンサルタントが書いたプロジェクトの責任者の指南書に、「私は今までプロジェクトを炎上させたことがない」なぜなら「勝てるプロジェクトしかやらなかったから」とあったのにびっくりしました。