(写真提供:Photo AC)
近年、健康志向の高まりとともに、「筋肉」への注目が集まっています。そんななか、「筋肉は、医学では糖や脂肪を燃焼する『代謝臓器』と位置づけられています」と語るのは、京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授の青井渉先生です。そこで今回は、青井先生の著書『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』から一部を抜粋し、ご紹介します。

サルコペニアと介護

筋肉を喪失し、筋力が低下すると、虚弱になり、やがて日常の生活動作をするのが困難になってしまいます。さらには、転倒や寝たきりにもつながるので、要介護状態につながる大きな原因になります。

日本の平均寿命は、男女ともに世界トップクラスです。しかし、自立した生活を営むことのできる健康寿命は、男性8.5歳、女性11.6歳(2022年時点)と平均寿命と比べて10年前後少なく(1)、つまりは人生最後の10年間を、介護を受けながら生活することになります健康寿命を延ばし、この期間をできるだけ少なくすることが社会的課題となっています。

<『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』より>

令和5年版高齢社会白書(内閣府)によると、前期高齢者(65〜74歳)では要介護者は3.0%ですが、後期高齢者(75歳以上)になると23.4%となり、7倍以上に増加することが報告されています(2)。

<『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』より>

そのような背景もあり、高齢化が進むにつれて、介護予防の観点からサルコペニアが注目されるようになりました。