<天下一の補佐役>豊臣秀長の目線で歴史をダイナミックに描く、夢と希望の下克上サクセスストーリー・大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ストーリーが展開していく中、戦国時代の武将や社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者の本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「姉川の戦い」について。この連載を読めばドラマ本編がさらに楽しくなること間違いなし!
長政はなぜ裏切ったのか
姉川の戦い(1570年)は、織田信長・徳川家康の連合軍と、浅井長政・朝倉義景の連合軍がぶつかった戦いとしてよく知られています。
ドラマでも、激しい合戦の様子が描かれ、血に赤く染まった姉川を見てぼう然と立ちつくす藤吉郎と小一郎の姿が印象的でした。
でもそれは決して、戦国大名家の命運を懸けた「決戦」、大会戦ではありませんでした。そのあたりを解説しましょう。
その前に、細かい点を二つ。まず一つは、浅井長政がなぜ信長を裏切ったのか、という点です。
一般には「浅井家は昔から朝倉家と結びつきが強かったから」と説明されます。
確かに両家は関係を持っているようですが、浅井家が深く恩義に感じるような、決定的な出来事があったかというと、それは見当たりません。
