ニューレディ、経済愛好家としてテレビやラジオなどで活躍する肉乃小路ニクヨさん。その知的な語り口と温かい人柄が支持され、対談依頼が増加。今では「対話おばさん」と自称することも。人見知りで、コミュニケーションが下手だったニクヨさんが、どのように「対話力」を磨いてきたのか。著書『育つ、育てる。対話力 話し下手が強みになるニクヨ式会話術』より、一部を抜粋して紹介します。
電話接客のスクリプト(台本)が起こした対話力革命
新卒で就職した会社の新人研修を入院のために受けていなかった私は、通販サイトの受付をするにあたって、初めて研修らしい研修を受けました。初めて接客用語やマナーを学んだのです。
そして電話の接客には考え抜かれたスクリプト(台本)があって、基本はそのスクリプトに則ってお客様と対話をすれば、スムーズに会話が進むということを学びました。
そうやってお客様の電話の受付をする受信業務を積み重ねるうちに、少しずつスクリプトを読むのがうまくなり、自然にお話ができるようになったのです。それはコミュニケーションに難を抱えていた私にとって、魔法のような体験でした。
コミュニケーションというのは役割に応じた定型文があって、それを状況によってセリフのように取捨選択をしながら、使い分けていけばよい。そう思うと一気に気持ちが楽になりました。定型文はたくさんの種類がマニュアルにすでにあって、それを頭に入れておけば、簡単に選べるのです。私は定型文のレパートリーを増やしていくことが楽しくなりました。
お客様と話す時は、相手の電話の目的を理解し、それに対応した定型文を言います。
たとえば「売却の手続きでございますね。こちらで受付させていただきます」と、アレンジをせず定型文通り言うことで自分の役割が明確になり、お客様も安心して要件に集中できます。
「手続きにはご本人確認が必要となっております。口座番号を教えていただけますか?」といった、お客様にとっても聞き馴染みのあるセリフです。定型文の無駄のない安定したスクリプトを話すことで、お客様も安心して手続きをすることができるのです。