noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬マニア」第27回は「体力がないことで損ばかりの私は、疲れ知らずのタフな人に嫉妬する」です
友人と共に訪れた神戸でのこと
神戸の北野エリアにある異人館街は、かなり急な坂道にある。
私はその坂道をゼエゼエハアハア言いながら数メートル先にいる友人を必死で追いかけていた。
もう疲れた。足がぷるぷるして力が入らない。座りたい。休みたい。帰りたい。
「せっかくだし、異人館街のオシャレなスタバでコーヒー飲もうよー」とミーハーなことを言い出したのは私だ。
もう疲れたからやめよう、なんて言えない。ていうか物理的に遠くて声もかけられない。このまま行くしかない……。
ヘロヘロのヨボヨボで、ようやく坂の上の友人のもとへ辿り着いた。
「はあー、喉乾いた。早くスタバに座ってアイスコーヒーを飲みたい」
そう言う私に
「ここ入ろうよ! ラインの館だってさ」
と友人。
友人が指さす方を見上げるとそこには「ラインの館」とやらが、また急な階段の上にある。
いや、マジで無理。ラインさんの家、見たいけど今は無理。もう一歩も登れない。
「はあ? せっかく来たのに、勿体ないなあ。」
と言われた。
ごもっともだ。せっかく名古屋から3時間かけてやってきた神戸。何やってんだ私は。異国情緒溢れる街並み、歴史、洗練された都市文化。神戸にしかない体験をしないなんて、もったいなすぎる。
