『風、薫る』場面カット 看護婦養成所で学ぶ実習生たち
(『風、薫る』/(c)NHK)
見上愛さん、上坂樹里さん主演で放送中の連続テレビ小説『風、薫る』(総合、毎週月曜~土曜午前8時ほか)。田中ひかるさんの『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社刊)を原案に、看護師という職業の確立に貢献した大関和と鈴木雅をモチーフにしたバディドラマだ。劇中には、鹿鳴館の華と呼ばれた大山捨松や、パリの万国博覧会に出店した商人、清水卯三郎といった歴史上の人物も登場する。朝ドラや大河ドラマは史実とフィクションのバランスが課題のひとつ。『風、薫る』の時代考証を担当している立正大学法学部の久保田哲教授(近現代日本政治史)に聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部:油原聡子)

史実に基づいて判断

ドラマの時代考証は初めて。『風、薫る』では、医事考証や看護考証が別に存在するため、久保田さんは言葉遣いや劇中に登場する道具など、当時の社会全体の時代考証を担当。制作側から台本が送られてくると内容を確認して制作側にフィードバックする。

「時代考証の仕事は史実に基づいて、ここからはダメ、ここからはグレーと明確にすること。それを踏まえたうえで、番組側が最終判断をします。僕個人としては、グレーだったら取り上げてもいいと思っているんです」と話す。

『風、薫る』の舞台は文明開化が進む明治時代。第7週、劇中では明治21年(1888年)にりんの家の食卓にカレーライスが登場した。ハウス食品のホームページによると、カレーライスが日本に入ってきたのは明治初期。明治26年に婦人雑誌にカレーの作り方が紹介された。初の国産カレー粉の登場は明治38年になるため、瑞穂屋に勤める美津がいち早く取り入れたのかもしれない。

「その時代には存在するけれど、一般にはまだ広まってないモノがある。立場的に登場人物がそれを使うのが多少早くても、この時代にこんなモノが登場したと視聴者に知ってもらうという意味ではアリだと感じています。司馬遼太郎作品は多くの人に読まれましたが、史実とは違うという批判も多い。でも、司馬作品を通じて日本史に興味を持った人もたくさんいる。朝ドラや大河は、日本史に興味を持つ入口という側面もある」と説明する。

台本になる前の段階で相談が寄せられることも。「実はこの人物は今後、こんな展開になります」「この人にはこんな過去がありますが不自然じゃないですか」といった問い合わせのほか、大道具や小道具の制作で意見を求められる。