(写真提供:Photo AC)
国士舘大学大学院客員教授・八幡和郎先生は、「近代日本において、全国のどこで生まれても地元の各都道府県に名門高校があり、良質な高校教育を受けることができることは国力の源泉となってきた」と語っています。当連載では、そんな八幡先生の著書『日本の名門高校 - あの伝統校から注目の新勢力まで -』から一部を抜粋し、全国の名門高校をご紹介していきます。今回取り上げるのは「神戸女学院高等学部」です。

神戸女学院高等学部 私立/女子校/中高一貫/兵庫県西宮市岡田山

進学実績非公表のお嬢様学校だが偏差値もトップクラス

関西の中学入試の偏差値を見ると、灘、洛南、東大寺、西大和の順となり、その後に神戸女学院大阪星光が並んでいることからも、神戸女学院中学部のレベルが相当に高いことがわかる。完全中高一貫女子校で高校からの募集はない。定員は135名。

自由な校風が特徴で、開校以来制服を設けていない。「愛神愛隣」を永久標語としている。毎日、礼拝の時間があり聖書に関する講義もある。

明治6年(1873)に、米国伝道会から派遣されたイライザ・タルカットとジュリア・ダッドレーが私塾を開校。明治8年(1875)に「女学校(Girls' School)」を設立し、のちに神戸英和女学校を経て、明治27年(1894)に神戸女学院と改称。昭和8年(1933)に尼崎藩主桜井家が所有していた現在地(西宮市岡田山)に移り、戦後、神戸女学院中学部・高等学部となった。

阪急今津線の門戸厄神駅から校門まで六甲山系に向かって坂道を上る。校舎は、ヴォーリズの設計で、阪神・淡路大震災で被災し一部取り壊されたが、重要文化財に指定されており、スパニッシュ・コロニアルといわれる様式である。スパニッシュ・コロニアルはスペイン人が新大陸の植民地で好んで建てた建築やそれに影響された建築様式で、20世紀の初頭にカリフォルニアで流行った。スペイン建築は石造りだが、新大陸では木造で粘土を利用して、凹凸がある塗り壁や赤い瓦が好まれた。

この神戸女学院高等学部では、受験産業主導の偏差値信仰と一線を画しているとされ、進学実績に関してもまったく発表していないが、関西ナンバーワン女子校のブランドは現在も廃れておらず、洛南、西大和、四天王寺、高槻の5校は女子の最難関中学と目されている。神戸女学院大学への進学は、かなり少なくなっているといわれる。