(写真提供:越乃さん 以下すべて)
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第128回は「つけ麺が教えてくれたこと」です。

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つけ麺が教えてくれたこと

10年ほど前、福島に行ったときのことです。

なぜそのお店に行ったのかは、全く覚えていません。
記憶に残っているのは、小さなお店の入口にあった食券の自動販売機と、お昼をとうに過ぎても続く行列だけです。
そこは美味しいと評判のつけ麺のお店でした。

私は空腹でした。
人は空腹になると判断力が鈍ると言いますが、あれは本当です。
メニューには「普通」「大盛り」……そして「1kg」。

私は迷うことなく「1kg」のボタンを押しました。
なぜでしょう。
「1kgくらい食べられるんじゃない?」
そんな根拠のない自信と、「1kg」がどれほどの量なのかを知らない無知さが、美しいハーモニーを奏でていました。

席に着くと、店員さんが近づいてきました。
「1kgでお間違いないですか?」

今思えば、あれは最後の救済措置だったのでしょう。
ところが私は、
「はい!」
と堂々と答えました。
店員さんも私をチラッと見て「この人なら食べられるだろう」とそう判断したのか、それ以上は何も言わず戻っていきました。