『ダーリンは外国人 リマスター版』「トニーは本当に日本人と同じように日本語を受けとめているのでしょうか?」という問いかけのコマ
『ダーリンは外国人 リマスター版』より
語学オタクの外国人の夫・トニーと漫画家のさおりが織りなす国際結婚の日常をユーモアあふれる視点で綴り、大ヒットしたコミックエッセイ『ダーリンは外国人』(小栗左多里、オーバーラップ)がオールカラーのリマスター版として6月に出版された。オリジナル版から24年を経ての復刻。制作秘話などを小栗さんに聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部・油原聡子 撮影:本社・武田裕介)

「オチ」が難しかった

『ダーリンは外国人』は2002年にメディアファクトリーから出版された。著者の小栗さんが漫画家として活動する前、日本でライター活動をしていたトニーさんとNGOのイベントで出会った。ハンガリーとイタリアの血を引き、アメリカで教育を受けたトニーさんは言語オタクで好奇心が強く、それでいて繊細。育った国も文化も違うトニーさんと小栗さんが、日々の暮らしで発見したお互いの「違い」に驚いたり、楽しんだりする姿をユーモラスに描いた作品だ。シリーズ累計300万部突破の大ヒット作となった。

オーバーラップから24年ぶりの復刊にあたり小栗さんはデジタル作画で全編フルカラーに改稿。「編集者の方からリマスター版を出そうと声をかけていただいて、率直にすごくありがたかったです。0から1を生み出す作業よりは楽でした」と振り返る。

当時ストーリー漫画を描いていた小栗さんにとって、本格的なコミックエッセイは初めてだった。「今、オリジナルを見るとだいぶ絵が粗い。でも、その時は手を抜いていたわけではなくて、コミックエッセイのイラストはそういうラフな感じのものがいいと思って描いていたと思うんです」

リマスター版のために『ダーリンは外国人』誕生秘話を描きおろした。小栗さんはもともと、トニーさんとのエピソードは「日常の小さなネタ」であり、「売り物になるエピソード」とは思っていなかったという。だが、編集者からの熱心な提案に心を動かされ、漫画化することに。

「オリジナル版は1ヵ月で描いたんです。『こんなことが起こりました、終わり』という単なる記録のような形にはしたくなかった。でも、捏造はしたくないし、ある程度オチをつけて描くのが難しかったですね」

2002年はコミックエッセイというジャンルが盛り上がりを見せはじめた時期。毎日新聞では西原理恵子さんの『毎日かあさん』の連載がスタートした。多くの作家の手によって、夫婦げんかや育児など女性の人生に起こる悲喜こもごもがコミックエッセイ化された。小栗さんの『ダーリンは外国人』も人気となり、シリーズ化された。