『ダーリンは外国人 リマスター版』さおりの「あっち向いてホイ」の誘いに、トニーが動揺するコマ
『ダーリンは外国人 リマスター版』より
語学オタクの外国人の夫・トニーと漫画家のさおりが織りなす国際結婚の日常をユーモアあふれる視点で綴り、大ヒットしたコミックエッセイ『ダーリンは外国人』(小栗左多里、オーバーラップ)がオールカラーのリマスター版として6月に出版された。小栗さん夫妻の結婚生活も20年超。子育てや海外移住などを乗り越え現在は東京で暮らす。「結婚してよかったと今も思っています」と語る小栗さんに、夫婦のちょうどいい距離について聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部・油原聡子 撮影:本社・武田裕介)

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ごはんに文句を一切言わないトニー

小栗さんは、岐阜県生まれ。1995年に漫画家としてデビュー。トニーさんは、ハンガリーとイタリアの血を受け継ぎ、アメリカで育ったジャーナリスト。1985年から日本を拠点としてライター活動をしていた。小栗さんとトニーさんの出会いは、日本。NGOの企画したイベントだった。2人は結婚して20年超。1人息子のトニーニョ君にも恵まれた。

「結婚してよかったっていつも思っていますよ。トニーはこだわりがないのが楽なんです」と明かす。「私が夜に出かけても何も言いません。一緒に暮らす上で飛びぬけて良いところは、ごはんに文句を一切言わないことです」と笑う。

『ダーリンは外国人』では、お互いの「違い」を考察して楽しく暮らしていく夫婦の姿が描かれた。もともとけんかは少ないほうだったが、トニーニョ君の誕生と、子育ては夫婦関係の転機になったという。

「子育てをどちらかに任せたらもめないのかもしれませんが、我が家はがっぷり四つに組んだのでぶつかることが増えました。トニーは子育てに対する理想が非常に高い。いろいろ体験させたいし、健康に育てたいし、と目標が高かったんです」

違いが特に大きかったのが衛生観念。トニーニョ君が赤ちゃんの頃、海外でホテルなどの床をハイハイした時、トニーさんは「そのままハイハイをさせていろいろと経験させたい」が、小栗さんは「ハイハイした手を舐めるのに、この床は汚すぎる」と考えが違った。

そこに加えて、子育てには小栗さんの母親も参加していたため、「母もトニーも私もそれぞれ見解が違う。基本は仲が良い家族ですが、死なせてはいけない小さい命があると、みんな細かいことが気になって過敏になる。調整が必要な部分はありました」

お互いの考えがぶつかり、けんかになることもあったが、その度、だましだましやってきたという。

「私が不満に思っていることがあるなら、それをちゃんと伝えて、どうしてほしいか要望を言わないと直らない。でも、話し合いもお互いの様子を見ながらでないと、さらに険悪になる。だから、一度ある程度吐き出したら、そこで1回終わりにして解散します。相手の思っていることがわかれば、ある程度の期間はまた持つので。そうやって折り合いをつけてきた感じですね」

トニーニョ君が成長し、小学校に上がるころにはもめ事が減ったという。