医療は二流ってほんと?
大学病院は研究ばかりやっているので、医療レベルは二流。この決まり文句は、大学病院を批判する本にはたいてい書かれている。大学が研究をしているのは事実だが、医療は二流などということはまったくない。こういう悪罵を投げつける書き手は、よっぽど大学病院に偏見があるのではないか。今回、『大学病院の正体-手術、人事、教育、研究のすべて』を書こうと思ったきっかけの一つが、この「医療は二流」という悪いイメージを払拭したいことにある。
大学病院は研究機関で、研究するためには勉強をしなければならない。勉強するというのは、医局員がみんな最新の英語論文を精読するということである。学術集会に参加する回数も非常に多く、大学病院の医師は一般病院の医師よりはるかに参加回数が多い。つまり医師の中で最もよく勉強しているのが大学病院に勤務する医師たちだ。
教授はその頂点に立つので、自分自身はたくさん医学論文を読まないかもしれないが、全医局員の研究成果をすべて把握しているし、あらゆる学会に参加するので最新の知見を知っている。教授という地位につくと、いやでも知識がバージョンアップされる。
また、外科系の教室では人間関係がいい意味でも悪い意味でもピラミッド型になっている。鼠径ヘルニアや急性虫垂炎は若手の医師が担当し、教授が執刀するということはない。その逆に、小児がんとか胆道閉鎖という難病に関しては、教授が中心になって手術が行われる。したがって、教授や准教授、講師といった高いポジションにいる医師は常に難易度の高い手術をやっている。下手なわけがない。
千葉県には、大学病院のほかにも外科施設がいくつもある。そういった地方の施設で難易度の高い手術が予定された場合、その施設の外科部長が大学の教授を招き、手術を手伝ってもらうことはよくあることだ。学問も手術のスキルも大学病院にその真髄は集まっていると言っていい。