大学病院とはどんなところなのか。なんとなく怖いイメージを持っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。「大学病院は、とんでもないところでも、怖いところでもない。開業医も、大学病院の医師も、患者のために役立ちたいと思っている」と語るのは小児外科医である松永正訓先生です。そこで今回は松永先生の著書『大学病院の正体-手術、人事、教育、研究のすべて』より一部を抜粋し、「大学病院の舞台裏」をお届けします。
医療ミスはなぜ起こる? 起きたらどうする?
大学病院で先進的な医療が行われると、そのぶん医療ミスも多いのではと一般の人は思うかもしれない。これはなかなか単純に言い切ることはできない。医療ミスというものには多くの方が関心も持つと思われるので、ちょっと深く解説してみよう。
まず、「医療ミス」と、手術や処置に伴う「合併症」とはまったく別物である。特に外科医は、一定の確率で起きる合併症から完全に逃れることはできないので、これは強いストレスになる(もちろん患者家族にも強いストレスになる)。外科医の宿命のようなものだ。
たとえば、小児外科で最も数の多い鼠径ヘルニアで説明しよう。ミスというのは、手術前に患者家族と約束したことをやらないことをいう。
つまり約束違反だ。外科の手術では、どんなシンプルな疾患でもきっちり手術内容を説明する。