なぜウソはばれるのか?

千葉大病院の医師ではないが、3件の訴訟を抱えているという医師に会ったことがある(ちなみに外科医ではない)。その医師は「精神的に非常にきつい」と言っていたが、それはそうでしょ? ぼくだったら、3件も訴訟になるような医療ミスと人間関係のもつれを抱え込んだら、とても医者を続けられない。

ところで、なぜウソはばれるのか? それは医師の誰かが必ず問題を公にするからである。手術は一人ではできない。外科医は最低二人、多いと四人、手術に入る。麻酔科医も二人。手術室の看護師も二人いる。みんなが見ている中で、ミスを隠すことは不可能である。

医者の集団というのは、確かに信頼関係に結ばれた同志のようなものではあるが、お互いに監視し合っている面もある。うちの小児外科のカンファレンスはお互いの間で議論が激しいことで医学生の間で評判だった。ぼくは、「先生たち、仲が悪いんですか?」と学生に聞かれたこともある。

仲は悪くない。でもお互いに切磋琢磨することは必要で、患者のためにならない医療をやっていると思えば、先輩に対しても堂々と文句をつける。そういう文化がうちの教室にはあった。これはうちだけではなく、ほかの外科系教室でも同じだと思う。つまりチェック・アンド・バランスが働いており、仲間のミスに目を瞑るような医者はいなかった。

※本稿は、『大学病院の正体-手術、人事、教育、研究のすべて』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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