宝塚在籍20年、宝塚後も20年の節目
宝塚歌劇団を卒業したのが2006年。ついこの間のことに思えますが、月日が経つのは早いですね。音楽学校を入れると、宝塚にいたのは20年で、それにプラス20年ですから、節目というものを強く意識します。
今回、退団20周年記念として『TUMBLEWEED』に主演させていただくことになりました。この作品は、構成・演出の荻田浩一先生のオリジナル作品です。アメリカ西部開拓時代の伝説の女ガンマン、カラミティ・ジェーンを題材に、朗読とダンスと歌で舞台を構成します。
タンブルウィードって、ちょっと馴染みのない言葉ですよね。これは、荒野で風を受けながら転がり続ける植物のこと。「ローリングストーン――転がる石には苔が生えない」ということわざも思い起こさせるというか……。
荻田先生は、風を受けながら前に進んでいく力強いイメージを、作品に託してくださったのだと感じています。
実は宝塚退団2年後の08年に主演した音楽劇で、カラミティ・ジェーンを演じたことがあるんです。男勝りのジェーンが恋をして、結婚、出産、別離、再会といった《女の一生》を経験する。役と自分の気持ちがリンクする面白さを肌身に感じた作品です。
「宝塚の男役」という虚構の追求も、私にとってやりがいのあることでしたが、今回の公演ではより女性として役に共感できる部分が大きくて、さらに芝居を追求したくなった。そんな思い入れのある役です。
共感といえばもう一つ、退団後に出演させていただいた、戦時中の宝塚を描いた物語『愛と青春の宝塚〜恋よりも生命よりも〜』(08年)も、忘れられません。
第二次世界大戦下という激動の時代を乗りこえてくださった方々がいたからこそ、宝塚歌劇が続き、私もその舞台に立つことができたのです。その貴重さを改めて感じた舞台でした。
戦争に限らず、私たちは災害や感染症など、不測の事態や環境の変化に常にさらされていますが、それでも歌劇の世界が継承されている――。なんてありがたいことでしょうか。
タカラジェンヌは退団したらみな、この作品を経験してほしい! と、今でもそう思っています。