101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。

<家の中のお気に入りの場所で過ごす幸せ>

庭の景色を眺めて新たな発見

今年の初めは足元が心もとなく、歩いて我が家の庭のささやかな早春を見つけることができませんでした。

ところが元気を回復したときに、窓から見えたのはまさに春爛漫の風景。私の得意技は食べておいしかった種を植えて育てることですが、その種から出た芽は背をはるかに超える丈に成長し、2mほどのあんずの木になって今年初めてピンクの花を咲かせてくれました。

ほかにはスイセン、ハナニラ、オドリコソウ、ハコベなどが地面を埋め尽くし、みんな一生懸命生きていることを感じさせてくれたことが忘れられません。

見慣れた春の庭の景色でしたが、今年はとりわけ「私も年相応の衰えと静かに付き合っていこう」と思わせてくれました。
 

(写真:stock.adobe.com)

 

家の中でいちばん落ち着く場所は、やはり食堂のダイニングテーブル兼書斎机です。そこの椅子に座ると窓から庭の景色が眺められ、ただぼんやりするのもいいですし、外に咲く花や小鳥が来るのを見たりするのも好きです。

昔、夫がよく「美しいものを見逃すな」と言ったものです。ですから見逃さないように虫めがねで何でもじっくり観察しています。

ダイニングテーブルのそばには虫めがねと双眼鏡。庭のイヌフグリの小さな花がどうなっているのか、肉眼ではわからないのですが、虫めがねで見たら凛とした素敵な花でした。それに感動し、以来いろいろな小さな花を見るのが好きになり、楽しくなりました。

庭にやってくる鳥は双眼鏡で息をこらして見ます。この間はシラサギが来たので喜んでいたのですが、シラサギが去って庭を再び見たら、池の魚が何もいなくなってしまって。

ときには驚かされることもある観察は、本当に面白いもの。虫めがねや双眼鏡で見ると、新たな楽しみの発見に心が弾みます。

好奇心や面白がりの精神は年齢に関係ありません。毎日楽しく過ごすために欠かせないという気持ちで、いつまでも持ち続けたいと思います。

 

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