(写真:AdobePhotoStock)
noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬マニア」」第36回は「歯並びが悪くうまく笑えない私は、綺麗な歯で屈託なく笑える人に嫉妬する」です

前回「人生で初めてホストクラブに行ってみた。はしゃげる人が羨ましい。せっかくの90分を無駄にした私は、人生を楽しむのが下手なのか?」はこちら

Netflixで配信中のオリジナルドラマ『ダウンタイム』

現在、Netflixで配信中のオリジナルドラマ『ダウンタイム』が話題だ。『ダウンタイム』では、夢を叶えるため、承認欲求を満たすため、自分自身を肯定するため、整形へと突き進む患者たちが描かれている。ルッキズムという呪縛に囚われ、美による解放にすがる彼女たちの視野は極端に狭く、時にメンヘラ的だ。私にはその気持ちがよくわかる。

私は歯並びが悪い。

「ああ、いやだ……最悪」

知人から届いた写真の中に、口を歪ませてブサイクに笑っている自分がいるのをみて、思わず目をそらしてしまう。

本当は大きく口を開けて豪快に笑いたい。けれど、前歯を隠したいという羞恥心が瞬時に働き、反射的に上唇がグッと下がってしまう。そのせいで写真の中の私はいつもニヤッとしている。むっつりスケベみたいだ。

どれだけオシャレをして念入りにヘアメイクをしても、笑うと大きい前歯がボロンとこぼれて全部をぶち壊す。気になって心から笑えない。みんなが私の歯を下品で無様で醜いと思うに決まっている。

SNSやメディアで人の画像や動画を見るとき、真っ先に見てしまうのは歯並びだ。芸能人はもちろん、最近は一般人でも綺麗な歯の人が多い気がする。彼らが屈託なく笑うのを見るたびに、自分のガチャガチャっとした歯が頭をよぎって惨めな気持ちになる。

歯並びが綺麗な人が羨ましい。