(写真提供:Photo AC)
現在TBSで放送中の日曜劇場『VIVANT』の続編が、2026年11月8日に最終回を迎える予定です。堺雅人さん演じる主人公・乃木憂助が所属するのは、極秘スパイ組織「別班」。映画やドラマに度々登場するスパイですが、その実態はよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。インテリジェンスを専門とする東京工科大学教養学環教授・落合浩太郎先生は、スパイについて「映画より冷酷で、ときに不憫で、驚くほど人間くさいプロフェッショナルたち」だと語ります。そこで今回は落合さんの著書『面白すぎて時間を忘れる「スパイ」の世界: 実在のスパイから世界の秘密工作まで』より一部を抜粋し、ミステリアスで刺激的な「スパイの世界」をお届けします。

「拷問」は有益か、有害か――アメリカの仁義なき戦い

「猶予はあと1時間、爆弾の隠し場所を吐け!」

カウントダウンが迫るなか、拘束したテロリストを激しく尋問する。スパイの世界と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、こうした拷問シーンだろう。

特に人気ドラマ『24-TWENTY FOUR-』の主人公ジャック・バウアーは、「国家の危機を防ぐためなら拷問もやむを得ない」というイメージを強めたとの批評もある。実際、アメリカ陸軍士官学校の関係者らが、現実の尋問について誤解を与えかねないとして、制作側に抗議したほどだ。

現実のインテリジェンスの世界における拷問とは、フィクションで描かれるような単純なものではない。情報機関にとって重要なのは、相手を苦しめることではなく、正確な情報を引き出すことだからだ。